ジェネラリストだった私が人事責任者になった理由
ROXXでは今年に入り人事制度が改正され、新たな人事制度のもとでキャリアの選択や評価が進められています。今回は、人事制度を策定した人事責任者の西村さんにROXXの人事責任者になった理由や組織体制についてインタビューしました。
ー まずはROXX入社までの経歴を教えてください。
大学在学中に学生起業に参画後、大学卒業後に新卒でグリーに入社し、Webだけではなくグラフィックなどを含めたデザイナーからキャリアスタートし、その後10カ国11拠点のブランドマネージャー、IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)を経て、マネーフォワードでマーケティング、経営企画、アクセンチュアでコンサルを経験、その後、M&Aアドバイザリー企業で社長室、インサイドセールス、管理、セールス・イネーブルメント、M&Aアドバイザー、フロントからミドル、バックの業務まで好き嫌いなく幅広く担当していました。
ー 様々な業界業種を経験された上でなぜROXXに入社を決めたのですか
一番の軸が、一緒に働く人でした。今までは個としてのチャレンジを多数してきたのですが、これからはチームで何かカオスな状態を乗り越えて、そのチームや事業が大きくなっていくことを経験できる環境を求めていました。そうした時に、COOの山田さんと出会い、人に対する情熱、どのような状況下でも逃げ出さず諦めない人だなと感じ、そのような人と一緒に仕事したいと思い、ROXXに入社することを決めました。
ー ROXXに入社してからどのような業務をされていましたか?
入社当時は事業本部長で入りましたが、パラシュート型だったため、信頼感の醸成にとても苦戦しました。そこで、一番現場に近いところで働きたいと思い、Zキャリア プラットフォームのカスタマーサクセスチームから再スタート、その後、back checkのマーケティングにも携わらせていただきました。ROXXの大事にしていきたい9つの「Tuning」という文化を言語化したものがあるのですが、特に「フィードバックから行動を変える」ということを意識して、短期間でも好き嫌いなくスピード感もってチャレンジさせていただき、人事責任者となりました。
ー ではなぜこのタイミングで人事責任者になられたのですか?
「人事責任者にならないか」と声をかけられた時、実は全く人事について意識しておらず、率直に「なぜ?」と疑問に思いましたね(笑)ただ、ちょうど組織の多様化やマネジメントとしても認知の限界に至る100人の壁にROXXは直面しており、この成長痛を仕組みで解決したいと思ったのが人事責任者を引き受けた大きな理由かもしれません。
後は、元々私自身があまり「できない」とか「ムリだ」と思うことが少ない人間で、「できるようにするためには、どうすれば良いか」を先に考える癖みたいなものを持っているため、そういう意味では、今回もそこがすんなり受け入れられた理由かもしれませんね。
お話をいただいた際に、客観的に自分のキャリアも振り返りました。様々な職種や役割を本当に好き嫌いなくチャレンジさせてもらってきたので、だいたい「うまくいかないよ」「わかるけど、厳しいよ」みたいな話を人一倍されてきた経験もあります。そうした時の挫折も含めて、人一倍悩んだ経験を持っており、そういう悔しい思いがある人の役に少しでも立ちたいな、と思っていたことも選択した理由のひとつかもしれません。
ー ここからは人事責任者としての考えを教えてください。まず、人事責任者としてのミッションとは何だと考えていますか?
会社と個人のミッションのベクトルをどう合わせていくか、に尽きるかな、と考えています。そのため、どのような仕組みでベクトルを合わせていくのかもそうですし、一番成果が出やすく、熱量をもって物事が進めやすい組織構造はどういうものなのかを考えることや、その上で組織としてのケイパビリティ(組織として持つ、他社より優位な強み)が最大化できる仕組みをどう構築し、何よりも細かく運用し改善し続けることが人事責任者としてのミッションと理解しています。
例えば、組織にいる皆が共通認識を持っている「はず」な点、目指したい会社やチームのイメージ、ミッション、象徴する事業、活躍している人物像など、一つひとつきちんと言語化していくと、実は人それぞれに微妙に異なっていることがありますよね。そうすると、最初はちょっとしたズレかもしれませんが、それが今は1ミリであっても、毎月1ミリずつズレていってしまうと、数年もすると数センチの乖離となり、放っておくと取り返しのつかないことになることもあります。ですので、ちょっとした違和感でも出来る限り言語化して、それを皆で共有すること。その上で今目の前にある課題の認識を合わせながら、改善策を進めていくようにしています。
最近世の中でよく、メンバーシップ型とジョブ型といった雇用の分け方がありますが、ROXXっぽくいうとバンド型とでもいうのでしょうか。微妙な音の違いを感じ取ってあわせていくこと、組織のケイパビリティを最大化できるように、全員が同じ基準でチューニングしていくこと。それが最高のレーベル(チーム)になっていくための最短距離と信じていて、大事にしていきたいなと考えています。
ー 会社にとって組織とはどのようなものだと考えていますか?
組織というのはあくまでも戦略を叶える手段であると私は考えています。手段がゆえに、世の中に数多な情報が出回っており、これをやったらうまくいったという話が多くあります。会社毎に歩んできた道のりは違うにも関わらず、あの有名な会社がうまくいったという理由で、同じ人生を歩んできたかのように同じ手段を選択をしてしまうとうまくいきません。
個々の人間に性格や感情があるように、会社にも性格、組織文化・カルチャーがあります。それぞれに合った選択をすること、それぞれに合った組織のカタチを目指し、アップデートし続けることが最も重要だと考えています。
ー 組織がよくなると会社にはどのような影響があると思いますか。
先程の話ではないですが、目指したいゴールまでの道のりを最短にできることじゃないでしょうか。ただ、組織や顧客との関係性を壊すような最短距離だけは絶対に選択しないことも非常に重要なことだと思います。これは、組織文化・カルチャーというテーマにつながってくると思っており、アフリカのことわざに「早く行きたいなら一人で行け。遠くへ行きたいなら皆で行け(“if you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together”)」というものがあります。ただし、我々のようなスタートアップでは、「早くて遠くに行きたい場合は?」を問われ続けます。それには、「良い組織とは?」を常にアップデートさせていき、昨日よりも今日、今日よりも明日、もっとより良い世界を創っていき続けられるように、強固な組織力とオペレーションの仕組みを整えていき続ける必要があると理解しています。
ー 組織をよくするために人事に何が求められるのでしょうか。
まず大前提、組織文化・カルチャーというのは、そこにあるものです。つまり、組織をよくするための話をすると未来の話をしがちですが、まずは過去の道のり、今の問題解決手法についてきちんと振り返ることが大切です。
当時どのような情報からどういう考えに基づいてその選択肢を選んだのか
当時なにが足りていなかったのか 、それは情報なのか、経験なのか、知識なのか、時間なのか
この2軸で振り返り、うまくいったこと、いかなかったことを言語化することからスタートすべきです。これを、どこまで精緻に振り返ることができるか、その上で次に取るべきアクションは何か、それをちゃんと認識を合わせて取り組むことがとても重要だと考えており、先程の話と矛盾しているかもしれませんが、組織をよくするための近道はないからこそ、それを一つひとつ紐解いて、各チームの皆と一緒になって改善していくことが最短距離を目指す上で、人事に求められることだと考えています。
後は、個人的にですが、今月も先月も同じことに時間を使っていたのだとしたら、もしかしたら打ち手が違うかも?などを疑い続けることも意識していますね。基本的に一人の人間は、同じタイミングで複数のミッションにフォーカスすることは難しいですし、違う時間軸のものを複数持つのは、結果が出難いです。そのため、今対応している課題解決を進めながら、同時並行でそこから派生する課題にも出来る限り目を向けて、構造的にいつでもスイッチを切り替えるように取り組んでいます。
ー 最終的にどのような組織をROXXで作っていきたいですか。また、そのためにやろうと思っていることはありますか。
この世の中に絶対という話はないということですが、理想の組織の定義は描いた瞬間に終わってしまうと思っており、保証のないものだからこそ、ROXXとそこにいる皆が夢を分かち合い、協力してその価値を高めていけるような組織を創ることが理想的だと思っています。
会社と個人のミッションのベクトルが重なっているとき、つまり「夢を分かち合えている状態」を目指していると言い換えても良いかもです。その状態は、双方向の愛情も含まれていて、未来志向の時間軸も含まれているし、ときには来るであろう、こうした成長痛にも一緒に立ち向かえるだろうし、言い得て妙かな、と思います。
そのために、今人事制度にとても力を入れていて、組織文化・カルチャーを言語化したValueとそれを体現するためのTuningを、皆で守るだけでなく「守って改善し続ける行動そのものを評価」できる仕組みをこの4月からスタートさせました。多くの新しいメンバーにも来てもらえることも意識して、競合優位性をとても意識しています。こだわり過ぎかもしれませんが、協調性とプロフェッショナルを発揮できるような環境にしたいと考えていたら、報酬体系は345通りにもなり、評論ではなく行動に移し、結果を出すことにコミットしやすい環境作りを目指しています。
ご参考:「人事制度の策定における舞台裏で」
https://note.com/eichiinc/n/n100465037236
ROXXっぽくお伝えすると、たくさんのアルバム(事業や価値)を生み出せる、そして、その一つひとつが最高のレーベル(チーム)になれるようにしていくことでしょうか。
私個人のチカラで何とかできることは限られています。だからこそ、皆がそれぞれに好きなように演奏しても、自然とそれぞれが最高の音を奏でることができる仕組みを創ることもそうですし、それを皆でチューニングし、より良くし続けることも評価できるようにしていく。そして、やっぱり「自分の手で時代の転換点を創るような事業・組織の成長をつくりたい!」という気概のある方を称賛できる文化を大事にしていきたいとも考えているので、この「バンド型」という新しい人事構想を皆で力を合わせて成功させていきたいですね。
西村さんありがとうございました。
次回はCOO / back check事業責任者の山田さんと人事責任者の西村さんによる対談記事を予定しています。
ー 最後に
ROXXでは様々なポジションで一緒に働くメンバーを募集しています。カジュアル面談からでも構いませんのでご応募お待ちしております。