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【FY10振り返り】僕らはまだ何も成し遂げられていない。10周年を前に合理性の壁と向き合った話

ROXXで人事を担当しております、西村です。

35度を超える猛暑が続いております。それもあってか、体調を崩される方も増えています。皆さま、どうかご自愛くださいませ。

9月には、ROXXは第10期が終わろうとしております。ROXXでは引き続き、積極的に採用を行っています。思い起こせば、1年半前に人事に来た頃、何もなかったところから、頼れる仲間が徐々に増え、一緒に様々な施策が打てるようになりました。
日々会社と事業をより良くしてくれる仲間がいることに、改めて感謝しています。

少し早く、また乱文で恐縮ですが、紆余曲折あった第10期を振り返っていきたいと思います。


第10期のポイントまとめ

  • 3年で約3倍になった採用力

  • 部門長クラスは10人以上ジョイン

  • プロダクト組織が独立し、入社数も過去最高を突破

  • 採用広報を再強化し、過去最高のPVを記録

  • コンプライアンス意識の向上

今期は心強い仲間も集まり、採用も事業も順調に進んでいるからこそ、嬉しい悩みでもあるのですが、出来ることが増えたと最も感じたのがこの第10期でした。

一方で、その組織の力を、どうマネジメントしていくのかについては、事業も伸びているからこそ、その瞬間の合理性と中長期での合理性のバランスをどう取るべきかは、行ったり来たりを繰り返しました。

採用は、素晴らしい事業とチームを創るために

今期の入社数はこの記事を書かせていただいている現在144名ですが、残り約2ヶ月なので、150名規模での着地になることが見込まれています。

一見すると、「そんなに急激に伸ばして大丈夫かな?」というのは、冷静な問いだと思います。参考になるかはわかりませんが、仮にそれがリスクだったとするならば、どうリスクテイクして、何を考えていたのか、その時どんな反省があったのか思考プロセスとともに振り返ってみます。

ソーシング戦略は組織戦略と常にセット

経済学者のケインズ氏が言ったように、「状況(情報)が変われば、結論は変わる」というところで、現在の採用市場を見ると、特に経験者領域の人材獲得競争が激化しています。全体感でいうと、いわゆる「超売手市場」をヒシヒシと感じていました。

定量的でいうと、2023年7月28日に発表した「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員求人件数・応募数推移レポート」における2023年4〜6月期の総評を見てみると、平均初年度年収は457.7万円(未経験者求人:427.2万円、経験者求人:519.7万円)で、平均値においては直近約5年で年収20.1万円と増加、同社のレポートですと求人数も140%以上も拡大している実態です。
※ 参照:株式会社マイナビ(2023年4-6月総評「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」

定性面でいうと、採用をしている中で明らかに「マーケットの環境が変わった」ということを「候補者の思考が変わった」という一次情報の肌感覚で得ています。結果的に今期の採用において、ファクトとしても競争力が高いポジションでは内定フェーズ段階で平均で3つのオファー段階がある状況で、その中でROXXを選んでくださるにはどうすれば良いかを考えなければなりませんでした。

それだけ採用をすることにおいての前提が変わったということもありますが、採用の目的は素晴らしい事業を創りたいから、素晴らしいチームを創ること、一緒に大きな事業を創ること、そして大きな成果を出していくことが目的なことは不変であるため、まず考えるべきは事業戦略。そして次に組織戦略。それらを実現している、成功している組織・チームの完成図はどうなっていなければならないのかを思考していました。

またその時に抜擢人事、新規採用の割合はどうすべきなのか、もちろんやり始めると1年先の未来組織図を描くのも簡単なことではありませんでしたが、それ自体は伸びしろかもしれません。

何れにせよ、その「その方が入ったら」というキャズムを超える施策として採用という手段を使うイメージが今期の採用における大きなTUNING POINTだったわけなので、詳細は上記にて。採用における本質としては、会社や事業、チームごとの現状ありのままを一次情報として人事が保有し、その課題を本質的に解決できる人材のソーシング能力を保有しているのかは、クロージングしにいくことばかりに気が取られていて、実は見過ごされがちなとても大事なポイントかもしれません。

選考にはバイアスが潜んでいる

実際の選考においても、大きな壁がありました。つまり、一定のアンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見を意味し、過去の経験や人の属性などから無意識にものごとを決めつけてしまうこと)があることを採用に関わる全員が認知できていたか、という点です。結論は、五分五分だったかな。というところではありましたが、本当のバランス感覚を養うべきだったと反省しています。

バイアスにおける例として挙げるとすれば、下記の3つになります。

  1. ステレオタイプバイアス:自分自身と似た、同じような雰囲気や考え方を持った人を自分にとっての常識だけで評価すること

  2. 権威バイアス:華やかな経歴や噂で聞く、例えば有名なあの人が言っているのだから、間違いないという評価に引っ張られること

  3. 確証バイアス:自分の信じる考え、「こういう人であってほしい」という願望を補強する材料ばかり集めてしまい、客観的な視点を欠いていくこと

おおよそ、上記の場合、算数で組織を創っていくわけですから、そうすると結果的に採用数が増えるので「やれる量」は増えるかもしれませんが、「やれる領域」は増えないわけです。もちろん、量を増やさないといけない採用も同時にやらなければならないので、ROXXがこれから考えていることはより数学的に考え「やれる領域」も増やす必要性があります。これがまさに組織のケイパビリティを上げるということなのですが、この2つのことを選考の中で同時に、かつ高速にやり遂げないといけません。

今期は、人事メンバー、そして採用に出てくれる皆の尽力もあり、おかげさまで多くの優秀な方にご入社いただいております。本当に感謝しています。

一方で、すべてが順風満帆ではなかったとは自覚しているので、今後は違うことも考えなければならないのが次のアップデートです。

論語と算盤と◯◯

上記をもとに、採用の流れが作れた後は、次は組織の観点から、今の常識を改めて疑う必要性があります。おおよそは「次の採用」というのが通常の考え方ではありそうですが、私の場合は「人材開発」に目を向けました。

つまり、このROXXをせっかく選んでくださった、また選んでくださっているすべての仲間に向けて、自分がコントロールできる範囲で何なら価値貢献できるのか?を考え抜く必要がありました。まずは、自分自身の「時間の使い方」をアップデートすることにしたわけです。

と格好良くいったものの、とても悩んだのはたしかで、世にいうe-learningの仕組みやら色々と考えたわけですが、結果的に動物的感覚に頼るとして、気付いたら人事メンバー含めて、実は今ROXXに所属している全員分のback checkを読み返していました。

その傾向値や考え方はもちろん、当時のROXXの状況や採用戦略、またサポートの品質、その後のご活躍状況。そこから、ヒトか、コトか。内か、外か。組織か、事業か。管理か、自由か。変化か、安定か。はたまた、給与か。役職か。在籍期間か。色々な切り口はあるものの、設問内容が結果的にその採用責任者が見たい情報にしかなっておらず、組織戦略とまったく紐づいていなかったことに気付き、とても反省しました。

さらに人的資本投資の財務的効果まで考えていましたか?と問われると明確にNoだったので、これはすぐに頭を切り替えなきゃいけないと認識しています。

よって、次は採用に掛けた投資はもちろん、その後ご活躍いただくにはどのようにすれば良いのかを「人事ではなく、人でみる」という観点、原点に立ち戻り、挑むことにしました。

いかに自分が苦労して築いた富だ、といったところで、その富が自分一人のものだと思うのは、大きな間違いなのだ。要するに、人はただ一人では何もできない存在だ。国家社会の助けがあって、初めて自分でも利益が上げられ、安全に生きていくことができる。

論語と算盤 | 渋沢 栄一

まずは、事業をやるにしても、その基盤は社会が支えてくれているということを前提に、社会の中で生きている以上、社会はもちろん、周囲に利益をもたらさない事業などありえないということです。「自分が儲けたい」だけではもちろんダメ。その前提には組織・チーム単位をどのようにすればメジャラブルな状態で見える化できるかを考えるべきです。

そうすると、組織・チームでの成功をまずは言語化する必要性があります。もちろん、それをメジャーにしていくためには、生産性というワードもセットにしなければならない。そうなってくるととても複雑です。スパン・オブ・コントロールという言葉もありますが、何よりもチームにおけるチャレンジをきちっと見れないのは大きな損失です。

論語と算盤のように「◯◯と◯◯」というxとyだけの二次元でみるというよりも、xとyと「z」、さらに進化させた三次元で物事を見るモデルが出来上がりました。ここでももちろん、アンコンシャスバイアスのかかった状態になっていないか、お互いに確認し合う習慣づくりが重要だといえるでしょう。

その上で、今ご活躍いただいている方々を一人でも多く世の中に発信していくことを再強化していこう、それも量をやるではなく、中身を追求して、1つずつカッコいいことをやる、というよりも不格好かもしれませんが、等身大の今を発信することを心掛けるようにしました。その辺りは、ぜひ下記のnoteからも覗いていただけると嬉しいです。

そして、攻め続けた採用力を維持しながらも、ディフェンス面にも目を向けていくことにしました。これも出来ていなかったことの一つです。

Convicted Civility(信念ある礼儀正しさ)

会社が大きくなってくると嬉しいことだけではなく、見えなくなることもあるからこそで起こる衝突もあります。本来は役割分担だから、お互いにリスペクトしよう、という抽象的な話ではなく、礼儀礼節という言葉でしょうか。これからさらに加速的に大きくなる目標に対して、それらを実現するためにこういうこともやっていくんだ。という強い姿勢にも近い話もしなければなりません。

何からすべきかを悩んだ末に、マネジメント研修を取り入れていくという一方通行なものではなく、まずは本来は働く人、そのすべての人が対象であり、チーム作りの土台でもある、組織やチームを壊すような行動をするメンバーには誰でも毅然とした態度で臨むことという大事な考え方を広めることから着手しました。つまりコンプライアンス強化の観点から、ハラスメントに対する考え方をお伝えしたというものです。

もちろん、就業規則内にはこうした条項を入れていますが、全社に共通認識として研修という形でスタートさせました。

「理と利」という言葉があるのですが、つまり道理の「理」と利益の「利」、どんなに素晴らしい理念や考え方、構想も、実現しなければ、それはただの虚像である一方で、そのためにどれだけ利益を追求しようが、「理」無き行動には、人は付いてはきません。

もちろん、自戒を込めてではありますが、こうすれば絶対に正解というのがないのがこの概念の難しいところでもあります。「被害を訴える側の主観でハラスメントかどうかが決まってしまう?」や「上司から部下に対する言動以外は、ハラスメントにならない?」などなど、数えきれないほどの誤解があるお話であることもたしかなことです。

熱狂の度合いも比較的ROXXという会社は全員が高い水準にあると思いますが、一方で熱狂の表現の違いを押し付けていないか。などは考えなければなりません。もちろん、事業をする前提において「顧客の成功」が先に来ているかは言うまでもないことですが、ベクトルを合わせる。という話でいうと、とりわけ全員で認識しておくべき点は、それぞれの役割の中ではあるものの、プロフェッショナルとしてまずは、どんなことでも「コスト」がかかるということがとっつきやすいかもしれません。

アメリカ心理学会の試算によると、職場のストレスによってアメリカ経済にかかるコストは、1年に5,000億ドルにものぼるという。ストレスを感じながら働いている労働者は、そうでない労働者に比べ、医療費が46%も高い。そして、ストレスの大きな原因は人間関係にある。つまり、無礼な人がいれば医療費は高くなり、病欠が増えるといえる。さらには、そのせいで離職者が増えると、採用コストもかかってしまう。

Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である

人事で言えることは上記の参照した内容かもしれませんが、これの本質は、本来向き合うべき事業に、コストを掛けるべきということだと考えています。そして、向き合い続けられるようにしていくためには職場環境を誰が、ではなく全員で力を合わせて、仕組みの中でキチッとより良くしていくべきということです。誠実さという言葉に置き換えても良いかもしれません。

一方で、今回実施してみて、バランスの重要性は、攻めも守りも「どちらも」を意識することをこの取組みにおいて、痛感しました。一旦偏ってしまうこともあると思いますが、その代わり、異なる意見や視点をどれだけ想定することができるか。その一方の考えと、自分自身の考えを行ったり来たりするのを忘れないことがとても重要であるということで、フラット過ぎるのも良くない。これは、やればやるほど自分自身にも跳ね返ってくるものでした。

ROXXは本当に頼れるたくさんのメンバーが入社してくださっているので、Tuningにある通り「お互いをリスペクトする」「できる方法から考え、言葉にする」ことができる、そんな最上位の基準値を求められる組織・チームであり続けるためには、こうした全員でもっと高くジャンプできるように土台を整える、組織やチームという中で、人間的にやらなけれなならないことへの投資もしっかりしてやっていきたいと思います。

そして、社内のメンバーも読んでいると思いますので、ぜひ原点に立ち戻って改めて下記の記事も読んでいただけると嬉しいです。

悲願のプロダクトチームの発足

実を申し上げますと、入社当時から、プロダクトチームの発足は悲願でした。働いてみたい企業の多様化が進んでいる昨今、おそらくどの調査を見ても「ROXX」という名は見当たりません。

一方で、ROXXの成長においてはプロダクトチームがいないと成し遂げられなかったことばかりです。そして、今ROXX全体で約50名のプロダクトに関わる素晴らしいチームがいることは実はお伝えし切れていないのも事実でした。ちなみに、今期も過去を振り返ると人数ベースで最も増加している年度でもあります。これは伸びしろと捉えています。

そこで、VPoEの宮竹を中心にこの7月から新しく「プロダクト開発部」を発足させていただきました。

そしてこれから最も重要でワクワクすることは、agent bankにおいて新規事業として、プロダクトをこれから垂直立ち上げをしていこう。というフェーズでもあります。詳細をお披露目するのは、これから。というところなのですが、特にプロダクトのスケーラビリティも高いagent bankにおいて、これからはじめる新規事業にもチャレンジしてくれるEM(エンジニアリングマネージャー)、エンジニア、PdM、デザイナーの人を大募集しています。

これから起こるワクワクは、挑戦したことがない未知なる領域なので、不確実性が高く実際、どれだけの難易度かはまだまだROXXも学習しなければならないフェーズではありますが、どのような組織・チームなのか、そしてどんな人が働いているのか、ぜひ一度話だけでも聞いていただけると嬉しいです。

次の10年に向けた新たな挑戦

ROXXはこの2023年10月で10周年を迎えます。今期実現できたことをさらに加速させ、圧倒的な成果を実現する一年にしなければなりません。

その上で、組織がスピーディーかつ継続的に成果を出すための仕組みづくりに用いられる概念として、「イネーブルメント」という言葉があります。

agent bankのカスタマーサクセスにいた当時、agent bankの一サービスで「Playbook」というのを構築していました。これの前提は、お客様のフェーズによって学びたいことは違う。なので、自分の良いタイミングで24時間365日いつでも学ぶことができる場を提供したい。という思いからです。

人事という役割においても、採用、制度、労務という役割を超えて、変化をしていく必要があります。優秀な人を採用するという話はどこでも聞く話なので、皆が優秀に働ける環境をつくる、というのがこれから求められることになると認識しています。ROXXの人事においても、「今よりもっと良くできる」これから先も現状に満足することはなく、会社の可能性を広げることにつながると信じて、イネーブルメントだけに留まらず、様々な取組をやっていこうと少しずつではありますが、着手し始めています。

こうした取組みも今後順次発信できるように尽力していきます。

長くなりましたが、最後に、改めてご入社いただいた皆さま、日々会社と事業をより良くしてくれる人事の仲間たち、そして毎度無理なお願いばかりにも関わらず、快く引き受けてくださる部門長やマネージャーの皆さま、そしてエージェントの皆さまをはじめ頼れる仲間がいることに、改めて感謝しています。引き続き、ご面倒お掛けすることもあるかと思いますが、一緒にさらなる大きなことを実現できるようにお力添えのほどよろしくお願いいたします。

暑い日が続いております、皆さまにおかれましてもご体調にはくれぐれもお気をつけくださいませ。

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